歯根嚢胞の症例写真を用いて解説します。

「歯根嚢胞」の症例

今日は以前ご説明した「歯根嚢胞」の症例を見ていきます。

むし歯が進行し、歯髄に感染が起こり、それが根の尖端に波及すると、根尖性歯周炎(根の先の炎症)が生じます。それが慢性化すると歯根肉芽腫や歯根嚢胞(膿の袋)ができます。

日常臨床でしばしば遭遇するもので、顎骨の中に生じる嚢胞の50%以上を占めます。
特徴として慢性に経過するものが多く、炎症によって顎骨の吸収(骨が溶ける)が起こり、大きいものだと卵ぐらいの大きさになることもあります。そのため根の治療をしたことがある方は6~12ヶ月以内に定期的に受診してレントゲンによる診査をしていくことをお薦めします。

では、レントゲンを見ていきましょう。


どこにあるかわかりますか?


黄色い丸の内側の白い丸が嚢胞です。

かなり放置したようですが痛みがなく骨を吸収(溶かす)しながら大きくなるため最近腫れが気になり来院しました。

どれくらい吸収しているかCTを見て見ましょう。


歯の中央辺りから鼻のしたまで穴が開いているのがわかります。

今回の術式は『抜歯と嚢胞摘出術』

根管治療(歯の根っこの治療)で治癒することもあります。根管治療が奏効しない場合や根管治療ができない場合には、手術によって嚢胞の摘出を行います。原因歯の骨植が悪い場合には、嚢胞の摘出と同時に原因歯の抜歯を行います。原因歯の骨植が良い場合には、感染した歯根の尖端部の切除(歯根端切除術 しこんたんせつじょじゅつ)とともに嚢胞の摘出を行います。

まずは歯茎を切開(黄色い線)し、歯茎をめくり骨を見えるようにしていきます。



この状態のままだと嚢胞は摘出できないので、嚢胞のある部分の骨を取ります。
(なるべく嚢胞を破らないように)

今回は骨の吸収が大きく歯を保存することが出来ないため、摘出と同時に抜歯を3本しました。

摘出物

最後に縫合して摘出完了です。

取り除いた部分は1~2年で骨が出来てきます。

このケースでは経過が長いため嚢胞が大きく手術の侵襲も大きく出ると予想していましたが、痛みはほとんどなく腫れも最小限ですみました。(一般的に術後は強い痛みや腫れが出てきます。)
手術は術前の診断、治療計画、処置により侵襲を少なくすることができます。

根の先の病気で歯医者をお探しの方、ぜひ一度当院にいらしてください。まずはご相談しましょう!

スタッフ一同お待ちしています。

歯科医師 馬庭 暁人

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