出っ歯といびきの関係は?口呼吸との悪循環とセルフチェック

「出っ歯だといびきをかきやすいと聞いたことがあるけれど、実際のところどんな仕組みなの?」
——そう感じているあなたに向けて、この記事では出っ歯といびきの関係を、口呼吸の仕組みからわかりやすく整理しました。
日本小児歯科学会は、口をぽかんと開けて口呼吸をしている状態やいびきをかく状態を、口腔機能の発達に関わる症状の一つとして挙げています。(日本小児歯科学会「口腔機能発達不全の治療に関する重要なお知らせ」)
出っ歯といびきが互いに影響し合う「悪循環」についても見ていきましょう。

日本小児歯科学会 口腔機能発達不全の治療に関する重要なお知らせ

目次

結論:出っ歯といびきの関係を先に整理

出っ歯(上顎前突)は唇を自然に閉じにくくする要因の一つです。
そのため、口呼吸につながることでいびきが出やすくなる場合があります。
一方で、「出っ歯の人は必ずいびきをかく」というわけではありません。
鼻の通り具合・舌の癖・体重・飲酒の有無など、他の要因と重なっていびきとして表れることが多いでしょう。
また、出っ歯が口呼吸を招くだけでなく、口呼吸の習慣が出っ歯を助長する場合もあります。

項目ポイント
出っ歯といびきの関係唇を閉じにくくなることで口呼吸につながり、いびきが出やすくなることがある
断定できないこと出っ歯の人が全員いびきをかくわけではない
悪循環になりやすい理由口呼吸の習慣が出っ歯を助長する場合もあるとされる
注意したいいびき呼吸が止まって見える場合は医療機関への相談が必要

出っ歯とはどのような状態か

出っ歯は一般的に、上の前歯が前方に出ている・上顎が下顎に比べて前方に位置している状態を指して使われる言葉です。
歯科的には「上顎前突」と呼ばれ、前歯の傾きが強いタイプ・上顎の骨格そのものが前方に出ているタイプなど、原因によっていくつかの種類に分けられます。

上顎前突の目安

日本小児歯科学会が示す3歳児健診の判定基準では、上顎前突の目安として「オーバージェット4mm以上」が挙げられています。(日本小児歯科学会「3歳児歯科健康診断における不正咬合の判定基準」)
オーバージェットとは、上下の前歯の水平方向のずれの大きさを指す言葉です。
あくまで健診での分類の目安であり、自分で診断するためのものではない点に注意しましょう。

日本小児歯科学会 3歳児歯科健康診断における不正咬合の判定基準

出っ歯にはいくつかのタイプがある

前歯そのものが前に傾いているタイプ・下顎が本来の位置より後ろにあることで相対的に出っ歯に見えるタイプなど、見た目が似ていても背景にある要因は一人ひとり異なります。
気になる場合は、歯科医院であなたがどのタイプに近いかを確認してみるとよいでしょう。

出っ歯だといびきが出やすいと言われる仕組み

出っ歯の状態では、前歯が前方に出ていることで上下の唇が自然に触れ合いにくくなります。
唇を閉じるために余分な力が必要になるため、睡眠中のような力を抜いた状態では口が開きやすくなるのです。
口が開いた状態で呼吸をする口呼吸になると、舌がのどの奥に落ち込み、空気の通り道が狭くなっていびきの音が出やすくなるとされています。

下顎が後退している出っ歯はいびきに関係することも

下顎が後退していることで出っ歯のように見えるタイプの場合、唇の閉じにくさに加えて、のどの奥のスペースそのものが狭くなりやすいとされています。
下顎や舌が後方に位置すると、空気の通り道が狭くなり、口呼吸の有無にかかわらず出っ歯といびきが関連する場合があるでしょう。

出っ歯による口呼吸で口の中が乾燥することも

出っ歯によって口が閉じにくく、口呼吸のまま眠っていると、のどや口の中が乾燥しやすくなります。
朝起きたときにのどが痛い・口の中がねばつく・唇が乾いているといった場合は、睡眠中に口呼吸になっている可能性もあるでしょう。
出っ歯といびきに加えて口の乾燥も気になる場合は、睡眠中の呼吸方法も意識することが大切です。

出っ歯といびきの悪循環が起こりやすい理由

出っ歯といびきの関係は、一方向だけで説明できるとは限りません。
出っ歯が口呼吸を招くだけでなく、口呼吸の習慣そのものが出っ歯を助長する場合もあるでしょう。

流れ内容
出っ歯 → 口呼吸前歯が邪魔をして唇が閉じにくく、口呼吸が習慣化しやすい
口呼吸 → 出っ歯の助長舌の位置が低くなる、口周りの筋力が低下するなどして、成長期の歯並びに影響することがある
結果として出っ歯と口呼吸・いびきが互いに影響し合う状態になりやすい

成長期の子どもは特に影響を受けやすい

顎や歯並びが発達段階にある子どもは、口呼吸の習慣が長く続くことで、舌の位置や口周りの筋肉の使い方が変化することもあるでしょう。
その結果、歯並びそのものに影響が及ぶ場合があります。
「口呼吸だから」と軽く考えず、早めに生活習慣を見直すきっかけにするとよいでしょう。

大人になってからも習慣は影響し続ける

大人になってからは歯並びが大きく変化することは少ないでしょう。
一方で、口呼吸の習慣自体は口の中の乾燥やいびきの悪化に関係し続けます。
「昔から出っ歯だから仕方ない」と諦めず、口呼吸そのものへの対策を並行して意識してみましょう。

出っ歯以外にいびきに関係しやすい要因

出っ歯はいびきに関係する要因の一つですが、それだけで説明できるとは限りません。
他の要因も一緒に振り返ってみましょう。

要因いびきとの関係
肥満・首まわりの脂肪気道の周囲が圧迫され、空気の通り道が狭くなりやすい
飲酒のどまわりの筋肉が緩みやすくなる
鼻づまり鼻で呼吸しづらくなり、口呼吸になりやすい
加齢のどまわりの筋力が落ちやすくなる
あお向けで寝る姿勢舌がのどの奥に落ち込みやすくなる

出っ歯に加えて別の要因が重なると強くなりやすい

出っ歯だけであれば軽いいびきにとどまっていた場合でも、体重の増加・飲酒・鼻づまりなど別の要因が重なることで、いびきが強くなることがあります。
「最近いびきがひどくなった」と感じるあなたは、出っ歯以外に思い当たる変化がないか振り返ってみるとよいでしょう。

子どもの出っ歯といびき:気づきやすいサイン

子どもの出っ歯やいびきは、保護者が日常生活や睡眠中の様子から気づくことがあります。
次のようなサインが見られる場合は、注意して様子を見てみましょう。

サイン考えられる背景
いつも口をぽかんと開けている口呼吸が習慣化している可能性
前歯が目立って前に出ている上顎前突(出っ歯)の傾向がある可能性
寝ているときにいびきをかく口呼吸や気道の狭さが関係している可能性
食べるときにくちゃくちゃ音を立てやすい口を閉じたまま咀嚼する力が弱い可能性

指しゃぶりや口呼吸の癖が影響することもある

長期間の指しゃぶり・日常的な口呼吸の癖が、成長期の歯並びに影響することがあるとされています。
気になる癖がある場合は、小児歯科やかかりつけの歯科医院で相談してみるとよいでしょう。

大人になってからの出っ歯といびき

大人になってから急に出っ歯が進行することは少ないでしょう。
一方で、口呼吸の習慣やいびきが続くことで、口の中の乾燥や睡眠の質への影響が積み重なっていくことがあります。

「昔からの出っ歯」と「最近のいびき」は分けて考える

もともと出っ歯であっても、以前はいびきをかいていなかったというケースもあります。
その場合、体重の変化・飲酒量・加齢などの要因が新たに加わった可能性もあるでしょう。
出っ歯だけを原因と決めつけず、生活習慣の変化も振り返ることが重要です。

口呼吸への対策を並行して行う

出っ歯そのものへの対応を検討する場合でも、口呼吸の習慣自体に働きかけることで、いびき対策になる場合があります。
鼻呼吸を意識する・口を閉じるためのテープを取り入れるなど、無理のない範囲で試してみるとよいでしょう。

今日からできるセルフケア

出っ歯そのものをセルフケアだけで変えることは難しいでしょう。
一方で、口呼吸やいびきへの働きかけとしてできる工夫はあります。

セルフケアねらい
横向きで寝る舌がのどの奥に落ち込みにくい姿勢を保つ
鼻づまりのケア鼻呼吸をしやすい状態を保つ
口を閉じる意識づけ日中から唇を閉じる習慣をつける
就寝前の飲酒を控えるのどまわりの筋肉が緩みすぎるのを防ぐ

口を閉じるテープを使う場合の注意

就寝時に口を閉じるためのテープを使う方法もあります。
一方で、鼻づまりが強い状態で無理に口をふさぐと呼吸がしづらくなることもあるでしょう。
鼻の通りをある程度整えてから取り入れる・違和感があればすぐに外すなど、体調に合わせて使うことが大切です。

こんな症状には注意が必要です
出っ歯や口呼吸への対策を試していても、大きないびきの後に呼吸が数秒間止まって見える・日中に強い眠気があるといった様子がある場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。
厚生労働省 e-ヘルスネットでもSASについて解説されており(睡眠時無呼吸症候群 / SAS|e-ヘルスネット)、出っ歯だけの問題として片づけず、耳鼻咽喉科や睡眠外来への相談を検討しましょう。
子どもの場合も、いびきに加えて口呼吸や日中の落ち着きのなさが目立つときは、早めに小児科・耳鼻咽喉科へ相談することがおすすめです。

厚生労働省 e-ヘルスネット 睡眠時無呼吸症候群 / SAS

こんな場合は医療機関に相談を

出っ歯といびき、どちらも気になる場合は、悩みの内容によって相談先を使い分けるとスムーズです。

気になること相談先の例
出っ歯そのもの・咬み合わせ歯科医院、矯正歯科
口呼吸の癖かかりつけの歯科医院(小児は小児歯科)
いびきの強さ・呼吸の途切れ耳鼻咽喉科、睡眠外来
子どものいびきが繰り返し続く小児科、耳鼻咽喉科

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(https://www.jibika.or.jp/)のサイトでも、いびきや鼻の疾患に関する情報が案内されています。
出っ歯といびきが同時に気になる場合は、まず歯科医院で相談し、必要に応じて耳鼻咽喉科への紹介を受ける形でもよいでしょう。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 https://www.jibika.or.jp/

いびき 出っ歯に関するよくある質問

出っ歯の人はいびきをかきやすいですか?
出っ歯は口呼吸につながりやすい要因の一つですが、必ずいびきをかくわけではありません。
鼻の通り具合・体重・飲酒の有無など、他の要因が重なって初めていびきとして表れることが多いでしょう。
出っ歯といびき、どちらが先に起こるものですか?
どちらが先とは一概に言えません。
出っ歯が口呼吸・いびきを招く場合もあれば、口呼吸の習慣が成長期の歯並びに影響し出っ歯を助長する場合もあります。
互いに影響し合う関係として捉えるとよいでしょう。
出っ歯が原因のいびきはセルフケアで軽くなりますか?
横向きで寝る・鼻づまりをケアする・口を閉じる意識を持つといったセルフケアで、口呼吸の頻度が減りいびきが軽くなる場合があります。
一方で、出っ歯そのものを変えるものではない点は理解しておきましょう。
子どもの出っ歯は成長とともに気にならなくなりますか?
ケースによって経過はさまざまです。
指しゃぶりや口呼吸の癖が続いている場合は成長期の歯並びに影響することがあるとされています。
気になる場合は小児歯科やかかりつけの歯科医院で相談することがおすすめです。
出っ歯といびき、両方相談できる窓口はありますか?
まず歯科医院・矯正歯科で出っ歯や咬み合わせについて相談し、いびきの強さや呼吸の途切れが気になる場合は耳鼻咽喉科や睡眠外来もあわせて受診するとよいでしょう。
どちらか一方に相談した際に、必要に応じて他の診療科を紹介してもらう形でも問題ありません。
まとめ
出っ歯は、上下の唇を自然に閉じにくくすることで口呼吸につながり、結果としていびきが出やすくなる場合がある咬み合わせのタイプの一つです。
一方で、「出っ歯だから必ずいびきをかく」というわけではなく、鼻づまり・体重・飲酒・加齢といった他の要因が重なって初めて目立つこともあるでしょう。
また出っ歯が口呼吸を招くだけでなく、口呼吸の習慣そのものが成長期の歯並びに影響し、出っ歯を助長する場合もあります。
横向きで寝る・鼻づまりをケアするといったセルフケアも意識してみましょう。
出っ歯そのものが気になる場合は歯科や矯正歯科・いびきの強さや呼吸の途切れが気になる場合は耳鼻咽喉科や睡眠外来へと、悩みに応じた相談先を選んでいくことが大切です。

最終更新:2026年8月29日

目次