舌癖・低位舌といびきの関係とは?「舌根沈下」との違いも解説

「低位舌・舌癖といびきは関係あるの?『舌根沈下』とは何が違うの?」
——そう気になっているあなたに向けて、この記事では低位舌・舌癖といびきの関係を、混同されやすい「舌根沈下」との違いも含めて整理しました。
日本小児歯科学会は、口をぽかんと開けて口呼吸をしている状態やいびきをかく状態を、口腔機能の発達に関わる症状の一つとして挙げています。
(日本小児歯科学会「口腔機能発達不全の治療に関する重要なお知らせ」)
まずは低位舌・舌癖とは何かから見ていきましょう。

日本小児歯科学会 口腔機能発達不全の治療に関する重要なお知らせ

目次

結論:低位舌・舌癖といびきの関係

低位舌とは、舌が本来あるべき上顎の位置から離れ、口の底や下の歯の内側などに下がっている状態を指します。
低位舌や舌癖があると、上顎を舌が内側から支えられず、気道が狭くなりやすくなることがあるとされ、いびきにつながる場合があると考えられています。
一方で、就寝中に起こる「舌根沈下」とは別の概念である点に注意が必要です。

項目ポイント
低位舌とは舌が本来の位置(上顎)より下がっている常態的な姿勢の問題
舌癖とは飲み込み方や舌の使い方に関する習慣的な癖
いびきとの関係上顎を支える力が弱まり、気道が狭くなりやすくなる場合がある
混同注意就寝中の一時的な現象である「舌根沈下」とは異なる概念

低位舌とは何か

低位舌(ていいぜつ)とは、舌が上顎から離れ、口の底や下の歯の内側などにだらんと下がっている状態を指す言葉です。
健全な状態であれば、口を閉じているときの舌の先は上の前歯の根本付近(スポットと呼ばれる位置)に接触しているとされています。

低位舌になる背景

低位舌になる背景には、舌の筋力の低下や口呼吸の習慣が関わるとされています。
口呼吸が習慣になると、舌を上顎に押し当てる機会が減り、舌の位置が下がりやすくなると考えられるのです。

見た目だけでは気づきにくいことも

低位舌は見た目だけでは判断しにくく、日頃の飲み込み方や安静時の口の状態を意識して初めて気づくことが多いとされています。
「舌の位置なんて考えたことがなかった」というあなたも、一度意識して確認してみるとよいでしょう。

舌癖とは何か

舌癖とは、舌の使い方に関する習慣的な癖のことです。
飲み込むときに舌で前歯を押す・舌を前に突き出す・指しゃぶりが長く続くなど、いくつかのパターンがあるとされています。

舌癖は低位舌の大きな原因の一つ

舌癖は低位舌を引き起こす大きな原因の一つとされています。
舌が正しい位置に収まらない癖が続くことで、低位舌の状態が定着しやすくなると考えられているのです。

舌癖と噛み合わせが影響し合うこともある

舌で前歯を押す癖が続くと、歯並びや噛み合わせにも影響が及ぶ場合があるとされています。
逆に、噛み合わせのズレが舌の置き場所をさらに定まりにくくすることもあり、両者が互いに影響し合う関係にあると理解しておくとよいでしょう。

低位舌・舌癖といびきがつながる仕組み

低位舌の状態では、舌が上顎を内側から支える力が弱まり、上顎の成長や歯列の広がりに影響することがあるとされています。
歯列が狭くなると、口の中の空間や気道のスペースにも影響が及ぶ場合があるでしょう。

口呼吸を招くことでいびきにつながることも

低位舌や舌癖があると、口を閉じにくくなり口呼吸につながりやすいとされています。
口呼吸が習慣になると、就寝中に舌がのどの奥に落ち込みやすくなり、いびきの音が出やすくなることがあるでしょう。

低位舌だからといって必ずいびきをかくわけではない

低位舌や舌癖がある人が全員いびきをかくわけではありません。
鼻の通り具合・体重・飲酒の有無など、他の要因が重なって初めていびきとして表れることが多いとされています。

「低位舌」と「舌根沈下」の違い

低位舌と混同されやすい言葉に「舌根沈下」があります。
両者はまったく別の概念として区別して理解しておく必要があります。

用語意味起こるタイミング
低位舌舌が本来の位置(上顎)より下がっている常態的な姿勢の問題起きている時間も含め、日常的に見られる
舌根沈下舌の付け根がのどの奥に落ち込み、気道をふさぐ現象主に就寝中、筋肉が緩んだときに起こる

低位舌が舌根沈下を招きやすくすることもある

両者は別の概念ですが、日頃から低位舌の状態にある方は、就寝中の舌根沈下も起こりやすいと考えられています。
「日中の舌の位置の癖」と「就寝中の一時的な落ち込み」を分けて理解することで、対策も選びやすくなるでしょう。

言葉の混同が対策選びを迷わせることもある

インターネット上では低位舌と舌根沈下が同じ意味であるかのように使われていることもあります。
自分がどちらの状態について調べているのかを整理してから情報を探すと、必要な対策にたどり着きやすくなるでしょう。

低位舌・舌癖のセルフチェック

本格的な確認は歯科医院での診断が必要ですが、気づくきっかけとして日常のサインを振り返ることはできます。

チェック項目考えられる状態
安静時に口が開いていることが多い低位舌・口呼吸の習慣がある可能性
飲み込むときに舌で前歯を押している感覚がある舌癖がある可能性
舌の両側面に歯の跡がついていることがある低位舌により舌が歯列に押し付けられている可能性
滑舌が気になることがある舌の位置や動かし方に癖がある可能性

セルフチェックはあくまで目安

上記のチェックは気づきのきっかけにすぎず、正確な確認には歯科医院での診断が必要です。
気になる項目があれば、一度相談してみるとよいでしょう。

複数の項目が当てはまる場合も焦らずに

いくつかのチェック項目に当てはまったとしても、それだけで重い状態と決めつける必要はありません。
気になる点を整理したうえで、歯科医院での相談につなげることが次の一歩になります。

子どもの低位舌・舌癖

子どもの低位舌・舌癖は、指しゃぶりの長期化や口呼吸の習慣が関わっている場合があるとされています。

成長期は特に影響を受けやすい

顎や歯並びが発達段階にある子どもは、低位舌や舌癖が続くことで歯列や噛み合わせに影響が及ぶ場合があります。
気になる癖があれば、小児歯科で早めに相談してみましょう。

指しゃぶりをやめるタイミングも一つの目安

指しゃぶりは年齢とともに自然と減っていくことが多いとされていますが、長期間続く場合は舌癖や低位舌につながる可能性があるといわれています。
なかなかやめられない場合は、無理に叱るのではなく、小児歯科に相談しながら対応を考えるとよいでしょう。

大人の低位舌・舌癖

大人になってから低位舌や舌癖が新たに始まることは少なく、子どもの頃からの癖が続いているケースが多いとされています。
一方で、加齢による舌や口周りの筋力低下が重なることで、いびきが目立つようになる場合もあるのです。

「昔からの癖だから仕方ない」と諦めない

長年の癖であっても、トレーニングによって舌の位置や使い方を見直せる場合があるとされています。
気になる場合は歯科医院で相談してみるのがおすすめです。

歯並びへの影響が気になる場合もある

大人になってからも、舌癖が続くことで歯並びがわずかに動く場合があるとされています。
矯正治療を検討する際に、舌癖への対応もあわせて相談すると、治療後の歯並びの安定にもつながりやすいでしょう。

生活習慣の変化がいびきに影響することもある

加齢に加えて、体重の増加や飲酒の習慣が重なることで、これまで気にならなかったいびきが目立つようになることもあります。
低位舌・舌癖と生活習慣、両方の視点から振り返ってみるとよいでしょう。

今日からできるセルフケア・トレーニング

低位舌や舌癖をセルフケアだけで大きく変えることは難しいでしょう。
一方で、意識づけとして日常でできる工夫はあります。

セルフケアねらい
舌を上顎につける意識を持つ正しい舌の位置(スポット)を覚える
口を閉じる意識づけ日中から唇を閉じる習慣をつける
横向きで寝る就寝中に舌がのどの奥に落ち込みにくい姿勢を保つ
鼻づまりのケア鼻呼吸をしやすい状態を保つ

本格的なトレーニングは歯科医院の指導のもとで

低位舌・舌癖への本格的な働きかけには、口腔筋機能療法(MFT)という専門的なトレーニングが用いられることもあります。
自己流で無理に舌を動かすのではなく、歯科医院で正しい方法を確認してから取り組むとよいでしょう。

日常のちょっとした意識づけから始める

食事のときによく噛んで飲み込む・会話の合間に口を閉じることを意識するなど、生活の中の小さな習慣から見直していくこともできます。
一度にすべてを変えようとせず、無理のない範囲から取り組んでいきましょう。

こんな症状には注意が必要です
セルフケアを試していても、大きないびきの後に呼吸が数秒間止まって見える・日中に強い眠気があるといった様子がある場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。
厚生労働省 e-ヘルスネットでもSASについて解説されており(睡眠時無呼吸症候群 / SAS|e-ヘルスネット)、舌の癖だけの問題として片づけず、耳鼻咽喉科や睡眠外来への相談を検討しましょう。
子どもの場合も、いびきに加えて口呼吸や日中の落ち着きのなさが目立つときは、早めに小児科・耳鼻咽喉科へ相談することがおすすめです。

厚生労働省 e-ヘルスネット 睡眠時無呼吸症候群 / SAS

こんな場合は医療機関に相談を

低位舌・舌癖といびき、どちらも気になる場合は、悩みの内容によって相談先を使い分けるとスムーズです。

気になること相談先の例
低位舌・舌癖・MFTの相談歯科医院、小児歯科
噛み合わせそのもの矯正歯科
いびきの強さ・呼吸の途切れ耳鼻咽喉科、睡眠外来
子どものいびきが繰り返し続く小児科、耳鼻咽喉科

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(https://www.jibika.or.jp/)のサイトでも、いびきに関する情報が案内されています。
低位舌・舌癖といびきが同時に気になる場合は、まず歯科医院で相談し、必要に応じて耳鼻咽喉科への紹介を受ける形でもよいでしょう。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 https://www.jibika.or.jp/

いびきと舌癖・低位舌に関するよくある質問

低位舌と舌根沈下はどう違いますか?
低位舌は、起きている時間も含めて舌が本来の位置より下がっている常態的な姿勢の問題です。
一方、舌根沈下は主に就寝中、筋肉が緩んだときに舌の付け根がのどの奥に落ち込む現象を指し、両者は別の概念として区別されています。
低位舌かどうかは自分で判断できますか?
舌の両側面に歯の跡がついている、安静時に口が開いていることが多いといったサインは目安になりますが、正確な診断には歯科医院での確認が必要です。
低位舌・舌癖はセルフケアで改善しますか?
舌を上顎につける意識づけなど、日常でできる工夫はありますが、本格的な改善には口腔筋機能療法(MFT)など専門的なトレーニングが用いられることもあります。
子どもの舌癖はいつ頃相談すればいいですか?
指しゃぶりが長期化している、いつも口を開けているといったサインに気づいた時点で、小児歯科に相談することがおすすめです。
大人でも低位舌・舌癖は見直せますか?
長年の癖であっても、トレーニングによって舌の位置や使い方を見直せる場合があるとされています。
気になる場合は歯科医院で相談してみましょう。
まとめ
低位舌とは舌が本来の位置(上顎)より下がっている常態的な姿勢の問題で、舌癖はその原因になりやすい舌の使い方の癖です。
低位舌・舌癖があると口呼吸につながりやすく、就寝中に舌がのどの奥に落ち込んでいびきが出やすくなる場合があるとされています。
就寝中に起こる「舌根沈下」とは別の概念であり、日常的な舌の姿勢の問題として区別して理解することが大切です。
舌を上顎につける意識づけ・横向きで寝るといったセルフケアも意識しつつ、本格的な見直しには口腔筋機能療法(MFT)など専門的なトレーニングも選択肢になります。
いびきの強さや呼吸の途切れが気になる場合は、耳鼻咽喉科や睡眠外来への相談も検討しましょう。

最終更新:2026年8月30日

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